世界の「サバ缶30種」食べ比べてみてわかったこと 日本は水煮が一般的だが、世界で多いのは

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ずらっと並んだ30缶を次々に開け、比較しながら食べていると、こうも多様な大きさと形があるものかと感心してしまう。

全体的な傾向としては、ヨーロッパのものはフィレになっていて、魚体は大小さまざま。一方アジアは筒切りのものが多く、これもだいぶ幅があるけれど、傾向としては魚体は小さめだ。

ヨーロッパのほうが脂が乗っていて柔らかく、アジアのほうがしまっている印象がある。この違いはどこからくるのか。もちろん食文化や調理方法のスタイルの違いもあるけれど、漁業の違いにもあるようだ。

日本のサバ捕獲状況は?

日本のサバ漁の状況を見ると、世界有数の輸入国でありながら、輸出国でもある。日本国内で人気があるのは、脂が乗った大型のノルウェー産。ヨーロッパ諸国では、水産資源保護の観点から、大きく育ったサバのみを捕獲するようになっており、その大きくて脂の乗ったサバを輸入して私たちが食べている。

一方、日本はサバの漁獲量世界第2位であるものの、まだ脂の乗っていない小型のものを捕獲して、アフリカやアジアに輸出しているのだ。これが持続可能な漁業かと問われたら、ちょっと悩む。

漁業の資源管理制度の違いも明らかで、ヨーロッパでは魚種ごとに漁獲可能量を決めてそれを漁業者や漁船ごとに個別に割り当てている(個別割り当て方式)のに対し、日本は漁獲可能量を定めているのは数魚種のみだ。その数魚種も、漁業者ごと個別に量を割り当てるのではなく、全体の漁獲高が上限に達したら操業を停止させるという方法(非個別割り当て方式)だ。

すなわち早い者勝ちなので、「ならば早いうちに、魚体が小さくても捕ってしまおう」という状況が起こりやすい。経済学で言うところの、コモンズ(共有地)の悲劇というやつだ。では、ヨーロッパ式の資源管理のほうが、漁業国としての歴史を積んできた日本よりも優れているといえるのだろうか。

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