"久遠チョコ"バラ売りでヒットの意外なきっかけ 面白がってくれた百貨店のカリスマバイヤー
その後も、うめだ阪急のバレンタイン催事には連続して出店。途中、新機軸を打ち出そうと、生チョコやボンボンショコラ(なかにフィリングという詰め物をしたひと口チョコ)に手を広げようとした年もあった。
そんな試みには興味を示さず、「お客さんが足を止めて会話を楽しみ、好きなものを1枚、2枚と買っていくのが、久遠チョコレートのよさなのよ」と優しく諭してくれる高見さんなのだった。
そして2024年のうめだ阪急のバレンタイン催事のコンセプト自体が「マルシェ」に。市場(マルシェ)を回るように、各ブランドがバラ売りしているチョコレートをお客さんが楽しみながら一つひとつ選ぶ、というテーマになったのだ。久遠チョコレートのスタイルが認められたようで誇らしい。
絵本みたいな3枚セットがヒット
ある時、バラ売りのテリーヌチョコレートを選ぶお客さんを見ていて、1つの場面が思い浮かんだ。
1枚手に取っては考えて戻し、次の1枚を手に取ってはまた戻し、を繰り返しているお客さんの姿に、書店であれこれ迷いながら本選びをしているシーンを連想したのだ。
そこで閃いたのは、テリーヌチョコレートを3枚セットにしてタイトルをつけて、絵本のようにして売るのはどうだろう、ということだった。
自信のなさから1枚ずつ買えるのをテリーヌチョコレートの売りにしていたが、そろそろ次のステージに行ってもいいのでは、と考えていた頃だった。
そこで、2023年の百貨店のバレンタイン催事で販売したのが、「QUONテリーヌ3枚セット」。
テーマに合わせて3種のテリーヌチョコレートをセットにし、タイトルをつけて絵本のようなパッケージをデザインしてもらった。背表紙が見えるように縦に並べるだけではなく、表紙を見せて陳列する“面陳”や“平積み”でも店頭展開すると、本当に絵本売り場みたいになった。
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