"久遠チョコ"バラ売りでヒットの意外なきっかけ 面白がってくれた百貨店のカリスマバイヤー

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でもまったく満足はしていない。僕が思い描く理想というのは、久遠チョコレートのやっていることが「当たり前」の社会になることだからだ。

久遠チョコレートの看板商品は、1枚からバラでも買えるテリーヌチョコレート「QUONテリーヌ」。

「QUONテリーヌ」をカットする様子
手作業で1枚1枚カットされる「QUONテリーヌ」(写真:『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』)

日本全国のさまざまな食材を用い、季節限定品・地域限定品を合わせると、その種類は150種類以上だ。世界30ヵ国以上のカカオを使い、カカオバター以外の植物性油脂を一切使わない、こだわりのチョコレート作りを心がけている。

自信がなくて始めたバラ売り

告白すると、僕がテリーヌチョコレートをセット売りにせず、1枚から買えるようにしたのは、商品力に自信がなかったからだ。

何しろ久遠チョコレートは、技術のあるショコラティエが始めたブランドではない。チョコレート作りのデビュー戦だ。だから、なるべく低価格で買いやすい商品にしたいと思って、1枚ずつ個包装にし、バラで好きなフレーバーを選べるようにしていたのだ。

久遠チョコレート本店の様子
好きなフレーバーを1枚ずつ選べるバラ売りスタイル(写真:『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』)

ただ、バレンタイン催事に呼んでくれる百貨店としては、客単価を上げるために高額の商品をできるだけ多くラインナップしてほしいというのが本音だろう。

望ましいのは、1箱2000円、2500円といった詰め合わせの箱を作って売ることだ。客単価も上がるし、あれこれ選ぶ必要がないのでお客さんの回転率も上がる。実際、そうしてほしい、と提案してくる百貨店もあった。

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