私は、経営者時代にはどうやったら人が育つかということがあまりよくわかっていませんでした。77歳で経営から完全に引退し、それから10年経った今となって、ようやくわかってきました。
引退した後、ゴルフ、カメラ、ガーデニングなどの趣味に没頭しました。しかし、どれも惨憺(さんたん)たる結果でした。ゴルフでは腰を痛めてしまい、続かない。カメラは、お気に入りの作品を写真教室の先生に見せたら、「1枚もいいものがない」とこてんぱんに言われてしまった。ガーデニングは、家族から「庭を掘り返して何しているの」と言われる始末。企業経営を離れると、何をしても二流だった。
そのときになって初めて、経営者として2000人の従業員を抱える会社のマネジメントをしてはいたものの、自分のライフマネジメントをまったくしてこなかったことに気づきました。そこで一念発起して、「人づくり」について体系的に勉強をし直したのです。
私が構築した「7育3V法」
私は、日本の大学教育は間違っていると思います。たとえばハーバード大学では、暗記力にウエートが置かれる日本の大学とは違った合否基準がある。知的能力はもちろん、個性、リーダーシップ、そして文学や音楽、芸術における独創性、そして運動能力も評価されるのです。
これは私が古代ギリシアの哲学や経営者としての経験を通じて構築した「7育3V法」とまったく同じ。「7育3V法」とは、目標(Vision)、挑戦行動(Venture)、成功(Victory)という三つのVの下、徳育、知育、美育、家育、体育、遊育、財育という七つの力を定義したライフマネジメントの手法。大学院で研究した、人間の最善の生き方を工学技術で解明するというアイデアにもつながっています。
フェイスブックやザッポスなど、ハーバード大学で学んだ若者が創業した会社が大きな成功を収め、注目を集めています。彼らには、抜きんでた個性があり、子どもの頃から創意工夫を重ねていました。
日本でこのようなエリートを育てる教育をするためにも、私が考案したライフマネジメントは有効だと思っています。
このような「人づくり」について、自治体などで講演活動を行っています。山形大学でも客員教授として講義を持っている。これらの活動を通じて、一人でも多く、リーダーシップを執れる人材を育てたいと思っています。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら