損保大手4社「覆面座談会」で見えた残酷な実態 「不正請求は日常茶飯事」「在庫車を強制購入」
BMの店舗から「今月あと3台入庫してくれないか」といった依頼が来ることもよくありました。そのとき事故車の玉がなければ、故障車で賄うといった具合です。
BMとしても、故障車はウェルカムだったはず。BMは各工場に、車両1台当たり14万円前後の修理費用を取るようにというノルマを設定していました。そのノルマが、靴下にゴルフボールを入れて故意に車体を傷つけ、修理費用や保険金を水増し請求する、ということにつながっていったわけですよね。
故障補償の対象となるのは、エンジンなどの不具合で走行不能になった車両です。なので、修理費用は高額になる可能性が高い。BMとしても、故障補償の車であればどんどん入庫してくれ、というスタンスだったように思います。
Eさん うちは営業部門が強い。あるときアジャスターがBMからの請求に疑義があると指摘したら、「何を言っているんだ。BMさんに謝れ!」と、BMを担当している営業がアジャスターの元に怒鳴り込んできたという話を聞きました。今となっては、営業のおまえがまず謝れよと思います(笑)。
保険料のカルテルは当たり前
──カルテル問題について。東急グループ向けの火災保険などでカルテル行為が発覚したとき、社内はどのような反応でしたか。
Fさん 「え、ダメだったの?」みたいな反応をしている人が、大勢いましたよ(笑)。業界慣行だったといわれているとおり、多くの営業の人たちは企業代理店とかを通じて、提示する保険料の水準を調整するのは問題ない、当然ぐらいの認識だったようです。
Gさん 営業部門から、「今日、監査が入った」とか「メールを過去何年分もさかのぼってチェックされた」とか「コンプラ(イアンス)部門の聞き取りが入った」とか「デジタルフォレンジックの調査が入った」といった話を聞き、かなり大変そうでした。
共保について話を聞くと、「日常的に他社と連絡を取り合っている。他社と一緒になって引き受けるので、手続き上どうしたって営業担当者同士でやり取りせざるをえない。正直、(カルテルは)当たり前のように行われてきたことだ」と、営業の人は皆言っていました。
[デジタルフォレンジック]パソコンやサーバー、携帯電話などの電子機器に残っているメールなどのデータを解析して事実関係を調査すること。
[共保]共同保険の略。単独では引き受けが難しい大企業向けの火災保険などを、リスク分散のため複数の損保で引き受ける仕組み。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら