損保大手4社「覆面座談会」で見えた残酷な実態 「不正請求は日常茶飯事」「在庫車を強制購入」

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Fさん 損保を「出入り業者」の1つぐらいにしか考えていない大企業は、少なくありません。損保各社の入札で、企財包の保険料をガチンコで競わせ1円でも安いところと契約しよう、というような意識も薄い。

それよりも本業(商品やサービスの販売)にどれだけ協力してくれたか、いわゆる営業協力の度合いによって、次回の保険契約の引き受けシェアを決めよう、というような姿勢で、顧客企業も傘下の代理店も接してくる。

昔はその企業の株を買い、安定株主として機能することが最もわかりやすい営業協力でした。ただ、現在は、どこの損保も政策保有株を削減する大きな流れの中にいます。

それゆえ、顧客企業の商品を買う、サービスを利用するといった営業協力で競うことに、損保営業の力点がさらに置かれるようになっていったのだと感じています。

[企財包]企業財産包括保険の略。事務所や工場など複数の施設における火災などの事故のほか、事故に伴う利益の減少などについても包括的に補償する。

[政策保有株]顧客企業との取引関係の維持・強化を目的として保有する株式。損保大手4社の政策保有株の時価合計額は6兆円超に上る。

歪んだ取引に心を病む営業担当者

Aさん 毎年11月にはボージョレ・ヌーボー、年末になればクリスマスケーキやおせち、節分が近づけば恵方巻、大型連休前には映画の前売り券などの注文書が社内で回ってきます。注文書を見るたびに、ため息が出ますね。もちろん強制ではないものの、営業の大変さを皆知っているので、協力する社員は多いですよ。

Eさん ある不動産デベロッパーは、営業協力の実績を表計算シートで管理しているという有名な話があります。自分たちの施設やサービスをどれだけ利用したかをきっちり「監視」して、次期契約の引き受けシェアに反映させるんですね。そうした歪んだ取引を求められることに苦悩して、営業担当者が心を病むことが過去にありました。

大企業向けの「団体契約」はかなり優遇されている
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