簡単な発想としては5歳児に通じるか、という発想に近いです。同僚に仕事をお願いしたくてテーブルに書類をポン、と置く場面を想像してみてください。
この時にいう「これ、よろしく」という日本語。5歳児の子供になにか渡す時に「これ、よろしく」とだけぶっきらぼうに言うでしょうか?きっちり意図を噛みくだいて言おうとするはずです。「これ、いまから一緒に手伝ってもらえるかな?」とか。
伝えたいことを噛み砕き意図を狭める
このように伝えたいことをクリアにし、ブレイクダウンしていくと結局伝えたい意図、というのはユニバーサルな伝わりやすいシンプルなものに行き着くのです。
「よろしく」という言葉の持つ幅広いニュアンスもこうして噛み砕くことで選択肢がナローダウンされ伝えたいことがクリアになっていく。このシンプルな意図の中枢部分を英語で言えるようになるか、それが大事なことなのです。決して「よろしく」から直接英語にできないからといって落ち込む必要などない。というかそれは無理なのです、もともと。
通訳者になろうとするのではなく、頭の中の日本語を5歳児にわかるように落とし込んでみましょう。その結果が「Could you help me?」まで落とし込めたら、もうあなたは立派な英語話者です。
「TOEICのリスニングパートって大変なんです、だってあんなにたくさん話されたら日本語にしている暇がないですよ」
という衝撃的な言葉を聞いたことがあります。どうやらその人はずっと英語というのは頭の中で日本語に変換して理解するものだと思っていたようです。
これは大きな大きな勘違いです。英語がわかるというのは Thank you がいつしかありがとう、に聞こえてくるような怪奇現象のことではありません。
Thank you という言葉を聞いて感謝されていることがわかる、ということなんです。Thank you はいつまでたっても Thank you と聞こえたままです。これは決してリスニングに限ったことではないのです。英語を英語のまま理解すること、これが英語を話すことにおいてもとても重要なことです。
この経験が教育の中でもあまりないので英語を話す、というときに英語がでない、ということが起こります。英語を翻訳して理解することを長年してきた翻訳病の猛威がここに降りかかってきます。英語を話しているとき、頭の中ではいわば英語OSが動いています。
英語の領域にあるものに手を伸ばそうとするのです。その領域には英語を英語のまま理解しているものしか格納されておらず、逆にいうと英語のまま格納された言葉には楽にアクセスができるので、英語を話すということにおいても非常に楽になるのです。
英語が口から出てくる、というのはこれができているかどうか、がカギです。英語には英語にしかない表現というものがあります。どうしてここに来たのか?というときもちろん Why did you come here?でも通じるのですが大人の英語としてはいささかダイレクトすぎて職務質問のような響きになってしまう。
という表現があります。
日本語でいうと、「何があなたをここに連れてきたのか?」ですが、ここに来た理由を聞く表現としてはとても一般的な聞き方です。
日本に来た外国人などに日本に来た理由を聞く際に使える表現です。ただこの表現、日本語の発想からではどれだけ頭をひねって考え抜いても生まれない発想です。
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