少子化対策しても「家族消滅」に向かう日本の現実 やがて日本は「超高齢独身国家」となる運命

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ただし、早合点しないでいただきたいのは、「単身世帯が増えていることイコール未婚が増えているだけではない」ということです。今や「3組に1組が離婚」する時代です。単身世帯の中には、結婚しても離婚でまた独身に戻る場合もあります。加えて、離婚ではなくても、配偶者との死別によりまた独身に戻る場合もあります。

同様に、夫婦のみ世帯も増えていますが、これも決して新婚夫婦が増えたわけでもなければ、子を持たなくなった夫婦が増えたわけでもありません。もちろん、以前に比べて、結婚しても無子夫婦の割合は増えていますが、それでも1割程度です。有配偶無子率についてはこちらの過去記事をご参照ください(『子育て支援拡充しても「少子化」は解決しない根拠』)。

夫婦のみ世帯の割合が増えているのは、若い夫婦ではなく、子育ても終了し、子どもが独立して夫婦だけに戻った高齢夫婦が増えているからです。
そして、この高齢比率増は夫婦のみ世帯だけではなく、単身世帯でも同様で、夫婦と子世帯でも世帯主が高齢者の割合が増えてきています。世帯全体の高齢化が進んでいるのです。

増えつつある高齢夫婦のみ世帯

それぞれの世帯別に、世帯主が65歳以上の高齢者の場合の推移を見ていきましょう。比率は総世帯に対する比率です。

夫婦のみ世帯と単身世帯の高齢世帯率は2020年は双方とも12%と一緒で、世帯数にすると約670万世帯です。これを各世帯単位内での構成比にすると、高齢者比率は夫婦と子世帯の場合は21%、単身世帯は32%、夫婦のみ世帯は60%となります。つまり、夫婦のみ世帯とは6割が高齢夫婦の世帯ということになります。

そして、それら増加している高齢夫婦のみ世帯は、やがて離婚せずとも夫婦のうちのいずれかが死亡することによって必ず一人に戻ります。一人に戻れば、それはすなわち単身世帯へカウント移行することになるので、増えつつある高齢夫婦のみ世帯はそのまま将来の単身世帯増加に直結します。単身世帯比率は増えることはあっても減ることはないのです。

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