生成AIの「無断学習」を規制するうえでの論点 強く規制することにはデメリットも

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生成AIを扱う場合、著作権などの問題を無視することはできません(写真:Boonyakiat Chaloemchavalid/getty)
生成AIの登場によって、数年先の働き方すら不確かな状況になっています。本稿は、東大・松尾研究室所属のAI研究者・今井翔太氏の最新刊『生成AIで世界はこう変わる』より、将来的に生成AIによって生じるであろう影響とその負の側面、そして人類の未来への展望などについてご紹介します。

AIに聞けば、すべての疑問が解決する?

将来的にはGoogle検索や現在のChatGPTがパワーアップする形で「AIに聞けばなんでも解決する」世界がやってくると思われます。日常の悩みも、リアルタイムで起きていることも、ゲームの裏技も、仕事で行き詰まったことも、人類の積み上げた科学知識も含めた「なんでも」です。

現在のChatGPTなどの生成AIは、入力できる文字数の制限やハルシネーション(噓の情報を出力すること)、学習に使用するデータを収集した期間などの技術的制約から、真の意味でなんでも聞いて解決してくれるものではありません。

まして画像を入力してまともな回答をしてくれるAIはまだ少数であり、質問への回答に画像や動画、実際の操作画面などを返してくれる実用的なAIはまだ存在しません。

また、現在の生成AIは稼働させるために膨大な計算リソースを必要とすることから、個人が独占して利用することもできません。

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