若者向けへのシフトが叫ばれているはずにもかかわらず、さまざまな事情もあったのかもしれないが、とにかく残念の一言に尽きる(未発表の特別企画での出場を期待したい)。
という中で、まずは発表済みの歌手×楽曲から、音楽的(+個人的)視点での見どころを挙げてみる。つまりは今回紅白のMVP候補である。
【見どころ1】YOASOBI『アイドル』
ikuraとAyaseという2人組ユニットによる、今年いちばんの話題をさらった曲が「トリ前」という、ある意味最高の曲順で歌われることとなった。
数年前、YOASOBIを初めて聴いたとき、ボーカロイドが歌っているかと思ったものだ。しかし20年紅白の『夜に駆ける』、21年紅白の『群青』の生歌を見て、ikuraこと幾田りらのボーカリストとしての実力にとても驚いた。
加えてそれぞれ、演出も良かった。特に『群青』は、オーケストラ(東京フィルハーモニー交響楽団)と170名の若者ダンサーの圧倒的なパフォーマンスが素晴らしく、白状すれば、本原稿執筆のために再度見直して、またちょっと泣いてしまった(当方57歳)。
『アイドル』は日本の音楽番組では初披露とのこと。見どころはikuraがあの超難曲をどう生で歌いこなすかに尽きる。
【見どころ2】Ado『唱』
ボーカリストとして日本最高峰の実力を持つ、顔出しをしない「覆面シンガー」。昨年紅白は「Ado」名義ではなく、映画『ONE PIECE FILM RED』の歌姫「ウタ」名義での出場だったので、バーチャル感が高く、正直肩透かしという印象を受けた。
しかし、今年は正真正銘の「Ado」としての出場。彼女はこの12月、複数の音楽番組に出演したのだが、そこでのボーカルはさすがの迫力だった。
ただ、その歌いっぷりと曲調が、とてつもなく濃密なので、聴き慣れないシニア層は、顔出し無しの見てくれを含めて、驚いているうちに終わってしまうかもしれない。
そこで『唱』に加えて、一瞬でもいいのでバラードも歌ってほしい。おすすめは昨年のウタとしての名バラード『世界のつづき』あたり。
【見どころ3】星野源『生命体』
今年夏に開催された、世界陸上・アジア大会のTBS系テーマ曲は、今年いちばん気持ちいい、抜群のグルーヴを持つ曲である。20年紅白の『うちで踊ろう』のときのように、手練れのバンドをバックにしたパフォーマンスを見たい。出来れば生演奏・生中継で。
「生歌・生演奏・生中継」
「生演奏・生中継」と書いたが、私が望む紅白は「3生紅白」である。つまり「生歌・生演奏・生中継」。
昨年紅白において、下記2曲は確実に「3生」だった(筆者の目視による。ただし冒頭のみ)。
・あいみょん『ハート~君はロックを聴かない』
・藤井風『死ぬのがいいわ』
無料会員登録はこちら
ログインはこちら