また下記2曲の冒頭(『メロディー』、加山雄三『夜空の星』のカバー)は収録映像(画面に「LIVE」と入っていない)だったので「生歌・生演奏」の「2生」だったことになる。
・安全地帯『I Love Youからはじめよう』
・桑田佳祐 feat. 佐野元春, 世良公則, Char, 野口五郎『時代遅れのRock'n'Roll Band』
そんな「3生」の極みが一昨年、2021年紅白の藤井風で、よってMVPと認定したのだ。あのときの流れを振り返ると、
1. まず岡山県の自宅から『きらり』を歌う。
2. その後カメラは突然に会場の東京国際フォーラムへ。右上に「LIVE」の文字が現れる。藤井風がゆっくりと楽屋からステージへ。
3. 突然のサプライズに、会場だけでなく、司会や審査員も驚く中、グランドピアノの前に座って『燃えよ』を弾き語る。
4. ピアノ1本という、逃げ場のない生演奏。しかし鍵盤をまったく見ずに、時にはカメラ目線も混ぜながら、さらに強くリズミカルな演奏を続け、最後まで堂々と歌い上げる。
私たちは「編集済み映像インフレ時代」に生きている。対して「生演奏・生歌・生中継」の「3生」に、このときの藤井風のような「生サプライズ」を加えた「4生」は、最大の差別化、最強の魔法になる。
音楽好きは「4生」をぜひまた見たいのだ。魔法に驚く準備は出来ている。
「特別企画」の物足りない感じ
ここからは、今回の「特別企画」の話に移る。僭越ながら言わせていただければ、全体的にちょっと物足りない感じがする。
また、黒柳徹子を担ぎ出す「テレビが届けた名曲たち」における、寺尾聰、薬師丸ひろ子、ポケットビスケッツ&ブラックビスケッツというラインナップからは、全体像、ひいてはコンセプトが見えにくい(TBS『ザ・ベストテン』を再現するという報道もあったが)。
個人的な注目はクイーン+アダム・ランバートだ。曲は『ドント・ストップ・ミー・ナウ』なので、ブライアン・メイによるあのドラマティックなギターソロを生演奏で見たい(同曲は、とにかく明るい安村のネタのBGMなのだが、ギターソロだけは、あまり茶化さない形で見たい)。
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