一番やってはいけないのは、血圧が下がったからと自己判断で薬をやめるという行為だ。脳心血管病のリスクを上げるだけでなく、治療を再開するときには薬を増やさなければならない、といったことも起こりうる。
知っておきたい降圧薬の副作用
では、降圧薬の副作用にはどのようなものがあるのか。
とくに高齢者は薬によって血圧が下がりすぎて頭痛や動悸、めまいといった症状が出ることもある。
「血圧を下げ過ぎないためにも、降圧薬は少量から開始するのが鉄則ですが、そのさじ加減は難しい。例えば、体重が減った場合、血圧は下がりやすく、夏の間は血圧が下がるという人もいます。同じ薬を同じ量で続けるのではなく、血圧の変動に合わせて、こまめに調整することが必要だと思います」(鳥羽医師)
そのためにも頻繁な血圧測定は不可欠だという。
誤解されやすいが、降圧薬の真の目的は血圧を下げることではない。それより大事なのは、動脈硬化や臓器の障害を防ぎ、脳心血管病を予防することだ。
「薬を漫然と飲むのではなく、定期的に首のエコー(頸動脈超音波検査)で動脈硬化の程度を調べてもらったり、心臓や腎臓などに問題がないか検査を受けたりすることが大事です」(鳥羽医師)
首のエコーについてはこちらをご覧ください(コレステロール高めの人、「肉断ち1カ月」のススメ)
(取材・文/中寺暁子)
鳥羽梓弓医師
2006年、千葉大学医学部卒。東京医科歯科大学大学院卒。老人医療センター(現:東京都健康長寿医療センター)にて研修、医員を経て2023年より現職。日本高血圧学会高血圧専門医・指導医、日本循環器学会循環器専門医、日本老年医学会認定老年病専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医。
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