鳥羽医師はこう警告する。
「脳卒中や心筋梗塞を起こすと、たとえ命は助かったとしても後遺症が残ったり、寝たきりになったりするケースもあります。また、高血圧によって腎機能が低下すると、生涯にわたって透析が必要になることもあります」
こうしたことを防ぎ、長く健康でいるためにも血圧をコントロールすることが大事だ。
「自覚症状がないと危機感を持ちにくいかもしれませんが、血圧が高い状態が続いているというのは、つねに全身の血管や心臓に負担がかかっている状態だと考えてください」と鳥羽医師は付け加える。
ここで改めて、どのような状態が高血圧なのか見ていきたい。日本高血圧学会による高血圧の診断基準は下記のとおりだ。
病院で血圧が上がる「白衣効果」
医療機関と自宅で測定した場合では、基準値に差があることからわかるように、医療機関で測定すると緊張から血圧が上がる人がいる。これを「白衣効果」という。
鳥羽医師によると、医療機関でだけ高血圧になる人は、通常は薬による治療は必要ないという。ただ、将来的に血圧が高くなる可能性が高いので、自宅に血圧計がある人は、自宅でも定期的に血圧を測定するのが理想だ。
高血圧と診断されて受診しても、すぐに薬による治療を開始するわけではない。
高血圧と診断されたすべての人に不可欠なのが、減塩を中心とした食事療法、習慣的な有酸素運動を主とした運動療法、禁煙、減量など生活習慣の改善だ。こうした生活習慣の改善だけで、血圧が下がれば、薬による治療は必要ない。
また、薬物療法中も生活習慣の改善は必要で、薬の効果を高めるほか、薬を減量したり、やめたりすることにもつながる。
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