キーエンスはファクトリー・オートメーション(FA)の総合メーカーで、工場内で使われるセンサーやモニターなど、さまざまな機器を企画販売する会社です。
最大の特徴は自社で生産工場を持たず、製造は協力業者などに依頼し、自らはその製品の企画や設計、販売に特化する、いわゆる「ファブレス企業」であること。そして、すべての製品を卸業者を通さず、直販している点です。
「ほかのどの社も作らない付加価値の高い商品を企画開発し、直接販売することで圧倒的な差別化を図る戦略」を進めてきました。
では、何がその強みの源泉なのか。
佐々木さんは「圧倒的な質と量とスピードのコミュニケーション」と言い切ります。そこには5つの「コミュニケーションの仕組み化」がありました。
5つの「コミュニケーションの仕組み化」とは?
1つ目は「主客一体の、激密なコミュニケーション」です。
主客一体とは主と客人が対等の立場で、お互いに啓発しながらその場や価値を創造することを指しますが、「主=顧客」「客=キーエンス」のセールスパーソンが一体となり、その境目が見えないぐらい濃密にコミュニケーションを重ねる関係性を作り上げるのです。
そのために、圧倒的な密度のコミュニケーションが「仕組み化」されました。
まずは毎日の電話、そして訪問。「営業マンの一日の電話時間件数など、すべて記録に残し、そのコンタクト量を『見える化』しました」。
「営業はやっぱり圧倒的なボリュームです。練習が大好きな人はいないでしょう。でもやっぱり練習しないと、打てないですし、守備もうまくならない。数を重ねることで、できるようになるんです」
その密なコミュニケーションの中で、「お客さんの、何でそれが欲しいかをどんどん掘り下げていく。そこで、表に見える顕在ニーズだけではなくて、お客さんも気づいていない潜在ニーズを発掘できる。思っていたよりはるかにいろんな省力化ができるよね、工程もいらなくなりますよね……となるんです」。
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