こうなると中期バブルの最終局面だが、前述したように、リーマンショックで崩壊していたのにそれを延命してきたために、最終的な崩壊が現在まで先送りになっているのである。
長期のバブル循環とは経済社会のバブルであり、古代ローマ帝国のバブル崩壊から中世、1492年の大陸間移動開始から始まった近代資本主義バブルということである。現在、それが最終局面に来ている。
「バブル崩壊は技術進歩で止められる」という幻想
もしこれが正しいとすると(ほとんどの読者は半信半疑どころか、相手にしていないかもしれないが)、「何か救う手段はないのか」というのが普通の発想である。
「環境破壊、どうする? テクノロジーだ、技術進歩、人類の叡智で解決しよう!」というのが、現代の健全な発想だろうが、ちょっと虫が良すぎる。
電力消費の総量を減らさずに、快楽は維持したまま、化石燃料を減らして温暖化を防止しようというのは、別の環境破壊をもたらすだけだ。自分の欲望をコントロールせずに技術進歩に頼るのはひどい話だが、しかし、何か魔法のようなことがテクノロジーで可能になると信じることは、論理的には可能である。
しかし、バブル崩壊を技術進歩で防ぐことが可能だと主張するのは、環境破壊の場合以上に、とてつもなくナイーヴな発想である。なぜなら、中期的なバブル崩壊による実体経済の停滞化を、人工知能やロボットなどの画期的なイノベーションで解決できるという考えは、論理的に完全に破綻していて、物理的に不可能だからだ。
なぜなら、近代資本主義というバブル、中期の経済市場のバブル、短期の金融市場バブル、いずれも金融商品、モノという商品を誰かが、これまでよりも高い価格で買うことから生まれているからだ。つまり、誰かが、新しく商品を市場で買わないといけないのである。さらに、その市場で、より高い価格を付けて買わないといけないのである。
これが実はバブルの本質であり、近代資本主義における経済規模の拡大であり、人々が経済成長と信じているGDPの増大なのである。そして、株価の上昇、株に限らない金融市場全体の時価総額の膨張なのである。
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