「そもそも、近代資本主義における経済と市場はつねにバブルになっている」というのが、2008年8月に出版した『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)からの私の主張である。この近代資本主義がバブルそのものであり、この長期循環のバブルも崩壊する可能性があるというのが、私の“当たらなそうな”大予言なのである。
なぜ近代資本主義は滅亡に向かっているのか
では、なぜ、いま近代資本主義が滅びるのか。それは、中期バブルの崩壊が、2008年9月のリーマンショックという崩壊すべきタイミングで崩壊させなかったために、さらに無駄に、そして制御不能なまでに膨張してしまった。その結果、金融市場だけでなく、政府や中央銀行をもすべて巻き込んだ巨大バブル崩壊となって、中期のついでに長期のバブルも崩壊してしまうリスクが高まったからである。
近代資本主義が民主主義とともに、危機にあるのは、前回の記事「シュンペーターは一体何を間違えてしまったのか」(12月2日配信)でも述べたとおりである。だから、中期の金融バブル崩壊が巨大なものとなったときに、崩壊しかかっている社会をも壊してしまう可能性があると考えるのである。
短期、中期、長期循環のバブルというのは、『アフターバブル』で私が提唱した概念である。短期のバブルは皆さんが普通に認識する個々のバブルであり(サブプライムバブルなど)、大ざっぱに言えば、金融市場のバブルである。一方、中期のバブルとは、金融市場だけでなく、実体経済を含む経済全体のバブルであり、現在の中期バブル循環は1990年の社会主義経済体制の崩壊から始まっている(長期のバブル循環は後述)。
実体経済のバブルにおいては、周辺地域がフロンティアとして市場に新しく取り込まれることが必要である。これが「移行経済バブル」「中国バブル」「アフリカバブル」と続いてきた。
しかし、このフロンティアが尽きて、「次は宇宙」などと地球環境を破壊した人々が言い出したということは、当面のフロンティアは尽きたということだ。
実体経済の中期バブル循環は終焉を迎え、それに抵抗する金融資本が金融市場で自己の願望を自己実現する金融バブルを膨らませたのが、世間では「サブプライムバブル」と呼ばれるバブルであった。私は『すべての経済はバブルに通じる』で、リスクがあるものなら何でも欲する、むしろリスクがあることを歓迎する「リスクテイクバブル」と呼んだ。
原油などの資源、食料などまでもバブルとし、ゴールドだけでなくウランまでも一時バブルになったことは皆忘れているだろうが、それが「リスクテイクバブル」であり、サブプライムはむしろリスクをかき集めてバブルを作っていたのである。
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