根拠あやふやな「15%」 関電、節電要請の波紋
ついに関西も電力不足--。関西電力は6月10日、真夏の供給不足による停電を回避するため、管内の企業や家庭に対し一律15%の節電を要請すると発表した。定期点検中の原子力発電所の再稼働見通しが立たないためで、7月1日~9月22日までの実施を想定している。
関電の自社発電能力の5割強は原発と、原発依存度は国内電力会社でも断トツに高い。その全原発11基を集中立地するのが福井県で現在、定期検査により4基が運転停止中。7月にはさらに2基が検査に入る予定だ。当初は点検中の原発を夏場までに再運転できると見込んでいたが、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響から、福井県は原発の安全基準の見直しなどを要請。運転再開に必要な地元自治体の同意が得られない状態が続いている。
関電によると、原発が再稼働できないと、夏場の想定最大電力需要3138万キロワットに対して供給力は2938万キロワットにとどまり、6・4%の電力不足に陥ることになる。
あいまいすぎる根拠
とはいえ、関電の目標15%はこれを大きく上回る。同社によると、内訳は不足分だけでなく、突発的な発電所の事故に備えた供給余力分として5%。また今回は、電力使用制限令でなく、強制力を伴わない自主的節電を促す要請のため、企業や家庭が節電に応じないケースを見込み、その余力として3・6%を想定。が、いずれも影響の算出方法は明らかにしていない。
加えて、同社は要請に当たって今夏の最大電力需要想定を当初の3037万キロワットから、猛暑だった昨夏並みの3138万キロワットに引き上げた。「暑い夏でも停電しないように」と、ここでも余裕を見込む。ただ、一方で東日本大震災による関西への生産シフトによる需要押し上げについては、「考慮していない」とちぐはぐだ。節電時間についても9時~20時と長時間にわたるが、実際のピークは夏場の数日、しかも数時間程度というのが通常。にもかかわらず、一律15%節電というのは大ざっぱな感がある。