日本郵便「封書30年ぶり値上げ」でも続く苦難 郵便物激減で4年後に「赤字額3000億円」と試算
郵便物数は2001年度をピークに減少を続けている。2001年度には262億通だったが、2022年度は144億通と45%も減少した。総務省は12月18日付資料の中で「インターネットやSNSの普及、各種請求書等のWeb化の進展、各企業の通信費や販促費の削減の動き、個人間通信の減少等」を主な減少要因として挙げている。郵便物数は今後もさらに減少し、2028年度に115億通まで落ち込む見通しだ。
冒頭の料金改定をしない場合の赤字見通しは、こうした郵便物の激減を前提にした試算だ。ただ、12月18日付資料によれば、値上げをしても、郵便事業が黒字化するのは2025年度の1期のみで、再び赤字に転落。2028年度には1232億円の営業赤字を見込んでいる。
再値上げを念頭に
「従来の考え方(改定後3年間の郵便事業の黒字維持)を見直し、経営状況に応じて短期間に再度見直すことも念頭に、最小限の値上げ幅とするとの考え方の下、総務省令で定める上限額の上げ幅も最小限とする」。総務省の12月18付資料にはこう書いてある。
郵便事業の「経営状況」は下のグラフのように再び赤字に転落する見通しだ。すなわち、郵便料金の上限を「短期間に再度見直すこと」は必至だといえる。
さらに「再度の見直し」は今後頻繁に起こると見るのが自然だろう。日本郵政の増田社長は12月22日の定例会見で「何度も値上げをするのは国民の理解を得られにくいのではないか」とする一方で、定形封書を値上げした1994年以降、「米国では17回、英国では20回と先進国は頻繁に値上げしてきた」と指摘した。
「郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な原価を償い、かつ、適正な利潤を含むものでなければならない」。これは郵便法第3条の条文である。郵便事業の赤字は郵便法に違反した状態であり、郵便料金の上限引き上げの法的根拠となり続けるからだ。
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