日本郵便「封書30年ぶり値上げ」でも続く苦難 郵便物激減で4年後に「赤字額3000億円」と試算
郵便料金の上限を引き上げるには、総務省令を改正する必要がある。郵便法第73条によれば、省令改正は審議会に諮らなければならない。さらに「郵便法第七十三条の審議会等を定める政令」によれば、その審議会は「情報通信行政・郵政行政審議会」である。
12月18日、松本剛明総務大臣は情報通信行政・郵政行政審議会の相田仁会長に、定形郵便物の料金の上限を110円に引き上げる改正案を諮問した。
2024年1月22日までパブリックコメントを募集。パブコメを受けて同審議会が総務省に答申を提出する。さらに消費者委員会や物価問題に関する関係閣僚会議に付議し、2024年春から夏にかけて省令を改正し公布・施行する。省令改正を受けて日本郵便が新料金を届け出て、値上げが実現するのは2024年秋頃とみられる。
日本郵便の親会社である日本郵政の増田寛也社長は「2024年10月に値上げしたいと日本郵便は考えている」と語る。
重量25グラム以下の定形封書は、今回も上限とぴったり同じ金額の110円となりそうだ。現在は84円だから26円(+31.0%)の値上げだ。消費税分の上乗せを除けば1994年以来、実に30年ぶりの値上げとなる。
はがきは7年ぶりの値上げ
総務省情報流通行政局郵政行政部が作成した12月18日付「郵便法施行規則の一部を改正する省令案ご説明資料」(以下「12月18日付資料」)によれば、日本郵便が第二種郵便物(はがき)も値上げするだろうと総務省は想定している。
想定額は85円だ。現在の63円から22円(+34.9%)の値上げである。消費増税分の上乗せを除けば、2017年以来7年ぶりの値上げだ。
はがき料金は省令に定めがなく、日本郵便が総務省に届け出るだけでいい。ただし郵便法67条により、定形封書よりは安くなければならない。たとえば現在の定形封書84円のままでは、はがきを85円にできない。そこで定形封書の上限が引き上がるタイミングで、はがきも値上げをする。
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