「定年後の人生」を左右する「50代で心掛ける事」 ハロワ通った宇宙飛行士が気づいた3つのこと

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しかし、自分の棚卸しを行い、「自分は何が好きか」「自分には何ができるか」「自分が何を大事にしているか」を考え、自分という土台をしっかり築いたうえで、「宇宙の謎を解き明かし、多くの人に伝えたい」「弱っている人、困っている人に手を差し伸べられる自分でありたい」「子どものころに遊んだ地元の川を、もう一度きれいにしたい」など、どうしても譲れない、そして相対評価に左右されない「やりたいこと」「こうありたい自分」を見つけられれば、どれほど環境や状況が変わろうと、一生かけて追いかけることができます。

自分らしい幸せな生き方

そして、一時的に困難に陥ることがあったとしても、常に前を向いて生きていくことができるはずです。

人生100年時代に入り、定年後の人生も長く続きます。

また定年に限らず、人生の転換期はいつ訪れるかわかりません。

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いきなり組織とのつながりを切られ、自分のアイデンティティも、生きる方向性も目標も見失ってしまうことは、会社というシステムに乗っている限り、いつでも、誰にでも起こりえます。

組織や他者から離れた自分を想像し、「自分は何が好きか」「自分には何ができるか」「自分が何を大事にしているか」をしっかり考えておくこと。

それはあらゆる世代の人にとって、組織を離れた後の時間を有意義に過ごすため、自分らしく充足した人生を送るために必要なことです。

自分の体力が衰え、行動力がなくなってからでは後悔してしまいます。もっと言えば、「死」がある日突然訪れることもあります。僕自身、宇宙へのフライトで「死」を強く意識することが何度かありました。

人生において、惰性で過ごしていい時間はない。そういう気持ちで自分自身を見つめ直すことで、自分らしい幸せな生き方が見つかるのではないでしょうか。

野口 聡一 宇宙飛行士

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のぐち そういち / Soichi Noguchi

博士(学術)。1996年5月、NASDA(現JAXA)の宇宙飛行士候補者に選抜、同年6月NASDA入社。2005年スペースシャトル「ディスカバリー号」で、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在、3度の船外活動をリーダーとして行う。2009年、ソユーズ宇宙船に船長補佐として搭乗。2020年、日本人で初めて、民間スペースX社の宇宙船に搭乗、約5か月半、ISSに滞在した。4度目の船外活動(EVA)や、「きぼう」日本実験棟における様々なミッションを実施し、2021年5月、地球へ帰還。主な著書に『どう生きるか つらかったときの話をしよう 自分らしく生きていくために必要な22のこと』アスコム刊がある。

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