ドイツと日本「クリスマスマーケット」の決定差 ドイツ人がマーケットで幸福を得られる理由

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このように「地元のクリスマスマーケット」ならではのアットホームな雰囲気があるものの、シーズンには平日でも夕方あたりから混み合う。それは観光客が増えるからではない。地元の人々が友人と誘い合ってやって来るからだ。ホットワイン片手に白い息を吐きながら、談笑にふける。あちらこちらから笑い声も聞こえてくる。

もちろん、家族連れも多い。ベビーカーを押しながら屋台を回る若い家族や、カルーセルに乗る子どもに手を振りながら、親がスマートフォンで写真を撮る様子もよく見かける。

また偶然にも友人とばったりということもある。「顔は知っているが、あまり話したことがない」という程度の知人でも、こういう時は、ちょっとばかり立ち話をすることもある。これをきっかけに少し距離が縮まって、友人付き合いにまで発展することもある。

古い都市で開催し、「郷土愛」の感覚を作る

ほっこりするような雰囲気があるクリスマスマーケットだが、その理由に開催場所とドイツの都市構造も関係がある。

まず開催される場所は広場などが多いが、こうした広場は「市街中心地」にある。これが重要なポイントだ。ドイツを訪ねたことがある方なら想像しやすいと思うが、観光地はだいたい中心市街地にある。それはその土地の「発祥の地」であることが多い。

中世にできたような都市はもともと市壁で囲まれ、その中に広場や教会、市役所などが「標準装備」のように揃っていた。その後「壁の外」にも住宅などができ、街が広がったが、発祥地は今でも大切にされている。

古い建物の中身は小売店やレストランになっているが、外観は美しく保存されている。つまり、自治体の「へそ」のような場所が、普段からショッピング、飲食などに訪れる人で賑わっているというわけだ。

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