経済活動の地理的集中によって生じる利益は、企業・人口といった経済主体を都市へ引きつける。一方、経済活動の高密さゆえ、ひとたび都市が災害や戦災に見舞われると経済的損失は甚大なものとなる。2024年元日に能登半島を突如襲った地震の被災地でも、現在、復興に向けた取り組みが急務となっている。
都市構造を破壊する負のショックがもたらされた場合、経済活動の集積は元あった場所で復興しうるのか。元の場所での復興が困難であるとすれば、いかなる場所で新たな集積が形成されるのか。
都市・空間経済学の分野では直近20年間、近現代に起きた災害や戦災の事例に着目し、こうした問いを検証する実証研究が多くなされてきた。それらから一般的に導かれる含意は、都市に対する物理的な負のショックは、集積の規模や場所を必ずしも大きく変化させない、というものである。
第2次世界大戦後間もない日本を対象とする研究でも、集積が元来持つ地の利や、復興に向けた人々の期待といった要因を原動力に、集積の復興が早期に実現したことが示されている。
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