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〈臨海副都心の生みの親が直言〉「街は方向感を失った」「新しいコンセプトで再出発を」 巨大海上都市の知られざる歴史、目指すべき将来像とは

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臨海副都心プロジェクトの前身となる構想が立ち上がった時期から全体計画策定などに関わった平本一雄氏は、同エリアの現状について、都市としての方向性を再考すべきと訴える(記者撮影)

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40年前に東京都が発表した「東京テレポート構想」を機に動き出した、臨海副都心のプロジェクト。東京湾に浮かぶ埋め立て地に巨大な人工海上都市を整備するという壮大な計画は、バブル経済の崩壊や世界都市博覧会(都市博)の中止といった歴史の荒波にもまれた末に、“遊興地”としての性格が強い都市空間を生み出した。
最初期の段階から全体計画策定などに関わったのが、東京都市大学名誉教授の平本一雄氏(80)だ。当時のプロジェクトの全貌を知る数少ない人物で、2000年に出版した著書『臨海副都心物語』(中央公論新社)では、臨海副都心プロジェクトが政治や経済の動向に翻弄されて変質していくプロセスを描き出している。
“臨海副都心の生みの親”とも呼ぶべき平本氏に、開発の経緯や現在の考えを聞いた。

「金の無駄遣い」で終わってしまった

――臨海副都心の整備が本格的に進んだ30年前は、かなり大きな批判にさらされたようですね。

青島さん(当時の青島幸男都知事)がたたく中心人物になり、(メディアの)全部がたたき派のほうに回りました。私なんかどちらかというと罪人みたいなもので、「この計画を作った人間はいったい誰だ」という言われ方もされました。

だけど、あるときにゆりかもめが開通し、どこかの新聞社が「お台場はカップルで揺られて行くと、とても楽しいのどかなよい場所だ」と書いたとたん、がらっと変わる。フジテレビができて、そこを舞台にしたテレビ番組や人気番組が作られると、一気に「行きたい場所」に変わった。かなり振り回されたと思います。

――結果的に、当初想定していたものとは異なる性質のものになっているように見えます。

青島さんが知事の時代に東京都庁で(構想の)見直しの懇談会があったのですが、まだ袋だたきになっているときでしたから、見直し派の言い分も感情的なところがあり、結局計画の根本を見直せずに今に至っています。

都議会やマスコミからは、「お金がかかりすぎる」という点が一番たたかれました。実際にかかった経費はわかりませんが、建設費がバブルで高騰し、見直すたびにどんどん上がりました。ただ、その分を差し引いても実は中身はよいことをやっているのですが、都庁も大きく反論しないから、「金の無駄遣い」で終わってしまった感がありますね。

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