地理で考える「日本の都市」に城壁が存在しない謎 世界のほかの都市では作られているものの…
城壁が広がる世界の都市
日本の都市と世界の都市を比較すると、日本の都市に見られる1つの特殊な部分が浮かび上がります。それは、「城壁がない」ということです。
世界的に見ると、王がいる都市の周辺には、王を守るために壁が作られている場合が多いです。市街地が城壁で囲まれた集落は、城塞都市・城郭都市とも呼ばれます。
例えばイラクのバグダッドには、今でも古代の城壁が残っています。イタリアにもアウレリアヌス城壁などが残るほか、トルコのイスタンブールも市街地を囲むように城壁が広がっていたと言われており、現在でも訪れることができます。漫画「進撃の巨人」でも、主人公たちは3つの壁に囲まれた都市に住んでいるという設定でしたね。
一方で、日本は都市全体を囲むような城壁はほぼ存在しなかったと言われています。もちろんまったく存在していなかったわけではなく、「土塁」と呼ばれる土で作られた堤防は存在していました。またその一部に石を使った「石垣」や、土や石灰を使った「土塀」と呼ばれる塀も存在しています。
しかし、それらは外国の城壁とは大きく異なります。なぜ日本には、城壁が少ないのでしょうか?今回は地理の視点を踏まえながら、解説したいと思います。
まず、「なぜ日本に城壁が少ないのか」の答えを考えるためには、「そもそも城壁とは、なぜ作られるものなのか」について考えなければなりません。
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