地理で考える「日本の都市」に城壁が存在しない謎 世界のほかの都市では作られているものの…

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堀で特に有名なのは、姫路城ですね。美しい白い外観と複雑な防御構造で知られています。城の周囲に幅広く深い堀が巡らされているうえに、「外堀」「内堀」など堀が幾重にも重なっているのです。こうすることによって、攻め込まれても守りやすい堅固な防御ができていたと言われています。

埋め立ててしまえば防御力失う

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しかしこの堀、「埋め立ててしまえば防御力を失う」という側面もあります。「堀の埋め立て」が行われたことで有名なのは大阪城です。「大坂冬の陣」の後、徳川家康は豊臣氏の居城である大阪城の堀を埋めたと言われています。これによって、豊臣側の防御を完全に失わせた、というわけですね。

まとめると、日本に「城壁」が少ないのは、日本の国土・風土とあまり合っていないからです。山が多く、地震も発生し、多雨な日本では、「堀」のほうが防御として適していたわけですね。

日本史と地理を同時に学んでいくと、このように新しい発見をすることができます。みなさんにも、ぜひこの2つの科目を通して、学びを深めていっていただければと思います。

宇野 仙 駿台予備校地理科講師

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うの たける / Takeru Uno

1978年、北海道旭川市生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業し、Z会東大進学教室講師や河合塾地理科講師を経て現職。「知識より知恵を」が最大の信条。「なぜそうなるのか」「他に考えられる事柄はないのか」を受験生と対話しつつ、社会に出てからも役に立つ論理的思考力や多角的・多面的な考察力を地理の授業を通して伝えている。著書に『センター地理B 最速攻略法』(旺文社)『大学入試 地理B論述問題が面白いほど解ける本』『地理B 早わかり要点整理』(ともにKADOKAWA)、『ぐんぐんわかるセンター地理B』(駿台文庫)がある。

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