ユダヤ人が土地を奪うという民族性と領土問題を結びつける扇動に引っかかり、ナチスを支持。破滅への道を選んだドイツの禍根は現代にも通ずる
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悪人は悪人の顔をして現れない(写真:Graphs/PIXTA)
国民の生活が苦しくなってくるとわいてくる、土地と民族は分かちがたくつながっているという発想。領土の所有について排他的な主張だけが正義として認められる社会。そのような社会の雰囲気は、ときに経済的な利益をもたらすのかもしれない。
しかし、これは第二次世界大戦当時のドイツと同じ考え方だということを認識することが必要だ。
第一次世界大戦後、経済不況に苦しむドイツ人が、なぜ悪名高いアドルフ・ヒトラーを支持したのか。
世界で驚異の売り上げ300万部を記録した教養書『全人類の教養大全』著者のチェ・ソンホ氏は、ドイツは自分たちの問題を解決してくれるリーダーを求めるあまり、悪魔のような政治家を生んでしまったという。
恐慌のスケープゴートにされたユダヤ人
ドイツは第一次世界大戦に負けたあと、戦勝国から巨額の賠償金を課せられていた。それに経済恐慌が重なって国家破産の危機に直面していた。
物価は上がりつづけ、貨幣は紙クズ同然だ。リヤカーにマルク紙幣をいっぱい積みこんでも、パンひとつすら買えないというありさま。
国民の苦痛と不満が限界に達していたこのとき、ドイツを救うヒーローがあらわれた。
彼の名前は、アドルフ・ヒトラー。
ヒトラーはドイツの苦しい経済状況の原因が戦争賠償金だと主張し、戦争賠償金の支払いを拒否すると、ドイツ国民を扇動した。そして、偉大なるドイツ人がこんなにも苦しい状況に置かれてしまったのは「土地の狭さ」だという。
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