ユダヤ人が土地を奪うという民族性と領土問題を結びつける扇動に引っかかり、ナチスを支持。破滅への道を選んだドイツの禍根は現代にも通ずる
すべての民族はその民族性に合う領土を持つべきで、領土は民族の魂と結びついている。なのに、今のドイツは、世界大戦で連合国に土地を奪われたうえに、ひどく汚されてしまったと。
「ドイツの領土が汚されたせいで偉大なるドイツ人の魂が苦しんでいる、その根本的な元凶はドイツに住んでいるユダヤ人だ。ドイツ人の偉大なる復活のためには、まず領土をきれいに掃除する必要がある」
これは遠い昔の他人のお話ではない
ナチスによるユダヤ人大量虐殺、ホロコーストは、そこからはじまった。
ヒトラーはドイツ国民に、ドイツ民族の復興のためには聖なる土地を取り戻すべきだと訴えるとともに、聖なる土地を汚したのはユダヤ人だと主張した。
ユダヤ人はイエス・キリストを殺害しただけでなく、ドイツが戦争賠償金の支払いで苦しんでいたときも金融業で富を蓄え続けた、憎たらしい民族でもあると非難した。
ドイツは、許されない罪を犯したユダヤ人を根絶することで聖なるドイツを再建するという目標をかかげて、600万人以上のユダヤ人を虐殺する「人種撲滅」政策を行った。民族の偉大性を取り戻すために、聖なる土地が必要だという考えはこうして生まれた。
このアイデアが当たって、ドイツ国民はヒトラーに熱狂した。
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