ユダヤ人が土地を奪うという民族性と領土問題を結びつける扇動に引っかかり、ナチスを支持。破滅への道を選んだドイツの禍根は現代にも通ずる

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ドイツは、ヒトラーのナチス党を中心とした排他的な民族主義のもとで結集して入念な戦争準備を行った。

不況に苦しむドイツは英雄を求めていた

ここでもう一度、歴史的な仮定を立ててみよう。ヒトラーという人物がいなかったら、ドイツが戦争を起こすことも、世界大戦に発展することもなかったのか?

断定はできないけれど、そうではないと思う。ヒトラーという1人の悪魔が戦争を起こしたのではなくて、ドイツ国民は「ヒーローを求めていた」のだから。

ヒトラーがいなかったとしても、ドイツ国民は戦争賠償金問題を解決すると主張する指導者を見つけようとしただろう。

人々は「英雄史観」にもとづいて歴史を見る。英雄史観とは、優れた能力を持つ天才的でカリスマ性のある人物が歴史をつくるという考え方だ。

逆に「民衆史観」では、歴史をつくる主体は民衆だと考える。

英雄史観の考え方で世界大戦を見ると、世界大戦を起こしたのはヒトラーだ。

一方、民衆史観の考え方では、世界大戦の原因は景気低迷を克服しようとしたドイツ人の意思だ。

英雄史観と民衆史観は、どっちが正しくてどっちがまちがいというわけではなく、歴史解釈の幅を広げる2つの考え方としてとらえるといいだろう。

チェ・ソンホ 作家

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ちぇ・そんほ / Chae Sungho

1981年生まれ。作家。成均館大学哲学科卒業。学生時代から文学、哲学、宗教、西洋美術、物理学など多様なジャンルに没頭。「チェ社長」名義で執筆した『全人類の教養大全』シリーズは2014年に刊行されるやいなやトリプルミリオンを達成。2015年には国内著者別売上トップを記録。以来、ベストセラーの座が揺るがない驚異の作品である。自身のポッドキャストは2億ダウンロードをゆうに超え、テレビなどのメディア出演多数。読者に望むことは、社会と人生のしくみを理解し、人とのコミュニケーションをよりよいものにしてもらうこと。

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