不確実性を恐れる日本企業に伝えたい解決の近道 「フワフワ」した話もビジネスには重要だ!

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もちろん事前資料の作成などはなしです。実際のプロトタイプに勝る説明資料はなかなかありません。このようなセッションをやってみると、ユーザーからのフィードバックの確からしさだけでなく、意思決定やすり合わせのスピードも格段に上がることを実感できます。効果は実証済みです。

IDEOでは過去に、実物大の車からホテルの部屋、飛行機の機内や空港、医療機器など、本当にさまざまなもののプロトタイプの力を目の当たりにしてきました。

プロトタイプを作って、それを見ながら皆で議論する──実行のハードルは低いですし、さほど苦労なくできるはずです。できるかどうかの議論に時間を使いすぎてしまうのは、失敗を恐れるからであり、また、行動することの楽しさを忘れてしまっているからでもあるでしょう。

会議室で「本当にできるのか」の議論が始まったら、すぐにそこを出て、できるかどうか、実際に試してみるのが一番です。

失敗しても「失敗の仕方」がうまくなる

問いかけからアイデアが出て、それをプロトタイプにしてみると、そこから生まれるものは、さらに良質な問いかけです。

『問いかけが仕事を創る』(角川新書)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

そうして続けていくなかで、次第に実験の仕方も変わっていくかもしれません。

例えば飛行機の機内デザインだったら、発泡スチロールや木材を使うだけでなく、もう少し解像度を上げて実物に近づけ、本物の飛行機のシートを用意して機内スタッフにも参加してもらう。あるいはサービス部分を実験するために空港でポップアップショップを出してみる、といった試みもできるかもしれません。

これはすなわち実験上手になっていくということです。「失敗を恐れず」という言葉がありますが、本質的には「上手に失敗できるようになる」ということなのです。問いかけるとはそういうことです。

野々村 健一 デザイン・コンサルタント

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ののむら けんいち / Kenichi Nonomura

慶應義塾大学卒業後、トヨタ自動車入社。ハーバードビジネススクールでMBA取得後、IDEOの日本オフィスの立ち上げに参画し、同支社代表兼マネジング・ディレクターを務める。国内外のさまざまな企業・団体のプロジェクトを手がける一方、ベンチャーキャピタルファンドD4Vの設立にもファウンディングメンバー兼パートナーとして関わる。現在は大手グローバルコンサルティング企業の執行役員兼パートナーとして新たな未来戦略×デザイン×イノベーション組織の立ち上げに挑戦中。名古屋商科大学大学院国際アドバイザリーボードメンバー。

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