そうなるためには、実は経験が非常に大きく影響します。不確実で落としどころが見えない状況に初めて直面した人は、硬直するかいらだちを示してしまうものです。しかし、たびたびそのような状況に直面し、それを乗り越えてきた人には、そこを突破できる自信と、その創造する行為を楽しむ余裕が生まれます。
そして、そのような感覚が文化として共有されている企業で働く人は、とても楽しそうに見えます。自分たちで創り出すことのできる可能性を楽しんでいるからです。
「とりあえず手を動かす」ことの重要性
問いを立て、アイデアを出していくと、必ずどこかで「そうじゃないだろうかと思うけれど、実際のところはわからないね」というような壁にぶつかり、先に進めなくなりそうな瞬間があります。問いを立て、アイデアを出すことだけでは、限界があるのです。
そのようなときは「手を動かす」ことが重要です。
元々はものづくりの会社として始まったIDEOにも、Talk Less, Do More(議論するより手を動かせ)という言葉が今でも組織文化として色濃く残っています。オフィスの中にもこの言葉をネオンサインにして掲げているくらいです。
「わからないね」「ああかもしれないね」「こうかもしれないね」などと、予想に関する議論を続けるのではなく、とりあえず形にしてみる──これが、Talk Less, Do More の意味するところです。
もちろん考えていくことは大切です。でもそれは、前項にもあった「不確実性」の世界です。そこから少しでも「確からしさ」のある世界に進んでいくには、行動し、実際に何かを作ってみることが近道なのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら