製紙再編は瓦解、大王と北越紀州の壮絶バトル 三菱争奪戦に続き、株主総会で激突も
製紙業界の「第三極」結集に向けた動きが、またもや肩透かしに終わりそうだ。
5月28日午前、東京都内で開かれた大王製紙の決算および中期計画説明会には、アナリストや機関投資家向けにもかかわらず、多くのメディア関係者が詰めかけた。
参加者がひそかに期待していたのは、説明会の場で、大王の佐光正義社長が製紙業界の「第三極」結集に向けて何らかの方針を打ち出すこと。具体的には、この4月以降に急浮上した「三菱製紙との統合」が、正式発表されることだった。
しかし、大王の用意した説明資料には三菱製紙の「み」の字も書かれていない。製紙業界再編への姿勢について聞かれた佐光社長は、「将来のことは断定しないが、現時点での優先順位としては、他にやることがたくさんある」と説明。目先は製紙業界再編に力を注ぐ可能性が薄いことを強調した。
きっかけは北越紀州と三菱の販社統合「破談」
そもそも、大王と三菱が統合するのではないかとの観測が浮上したのは4月1日、北越紀州製紙と三菱が販売子会社の経営統合に向けた検討を中止してからの話だ。
北越紀州と三菱は昨年8月、基本合意書を締結。それぞれの販売子会社である北越紀州販売と三菱製紙販売が、今年4月1日をメドに経営統合することで検討を始めると発表した。
しかし、昨年12月には三菱から北越紀州に対し、販社統合協議を一時的に中断するとの通知があった。北越紀州側では協議再開を再三要請し、販社統合予定期日の延期や、本体同士の統合も検討するといった提案までも申し出たものの、結局、三菱からは基本合意の解除を決めた旨、今年の4月1日に一方的に通知されたという。
この破談の真相については、北越紀州側からも三菱側からも、4月1日付けでそれぞれ出した1枚のリリース以上のものは正式発表されていない。一部メディアからは、破談の背景には、大王と北越紀州の間で三菱の"争奪戦"があったからとも伝えられた。
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