製紙再編は瓦解、大王と北越紀州の壮絶バトル 三菱争奪戦に続き、株主総会で激突も

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しかし、5月28日の説明会で大王の佐光社長は、「明確に申し上げるが、(北越紀州販売と三菱製紙販売という)販売会社の再編について、当社がどうこうということは一切ない」と否定。

三菱製紙販売は親会社の製品のみならず、北越紀州製紙や大王製紙の製品も扱っているという

同日午後には、三菱も都内の本社で決算および中期計画進捗状況についての説明会を開催したが、鈴木邦夫社長は「(北越紀州との販社統合にあたっても)まだ準備が足りなかった。当社の中でもう一段準備を進めないと、他社とどうこうはできない」と説明。大王を含む同業他社との再編は時期尚早との考えを明らかにした。

製紙業界での「第三極」結集は、北越紀州-三菱のみならず、代わって浮上した大王-三菱の組み合わせも、ひとまず雲散霧消した格好になってしまった。

大王は収益力、北越は財務力で「第三極」主導

製紙業界の売上規模は、決算発表されたばかりの前2015年3月期実績ベースで、国内首位の王子ホールディングスが1兆3472億円、2位の日本製紙が1兆0524億円と、ともに年商1兆円の大台に達している。3位のレンゴーは売上規模5226億円ながら、板紙・段ボールの専業メーカーであるため、印刷用紙を主力とする大手他社とは業態が異なる。

一方、王子HD、日本製紙の2強に対抗する「第三極」の核となりうるのが、4位の大王(前期の売上規模4502億円)、5位の北越紀州(同2284億円)、6位の三菱(同2149億円)の3社。売上規模で見るかぎり、これら3社の単純合算値でようやく9000億円弱となる勘定だ。ただし、その中でも三菱は主力の八戸工場(青森県)が2011年の東日本大震災に伴う津波の打撃からようやく立ち直りかけたところで、本業の儲けを示す営業利益は10億円と小さく、財務体質の脆弱さから見ても業界再編の主役にはなりにくい。

これに対し、大王製紙は紙おむつをはじめとするホーム&パーソナルケア事業が国内外で伸び盛りで、前15年3月期の営業利益も217億円と日本製紙(同236億円)に匹敵する収益力を誇る。北越紀州も国内有数の競争力を持つ新潟工場のフル活用で、同業他社が苦戦ぎみの印刷用紙事業を比較的有利に展開している。北越紀州は巨額の有利子負債を抱える大王製紙に比べて自己資本額では上回るなど、財務力においては業界内でも定評がある。

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