王子、異例のツートップ体制の狙い

会長と社長がグループ共同CEOに就任

12月16日に本社で会見を行った矢嶋進副社長(写真左)と進藤清貴社長

「この時期の社長交代発表には正直驚いた。しかも、社長就任からまだ3年も経っていないのに」――。製紙業界関係者は、暮れも押し迫っての、業界最大手のトップ交代に対して一様に驚きを隠さない。

製紙業界国内首位の王子ホールディングス(以下、王子)は12月16日、篠田和久会長が来年1月11日付で退任し、進藤清貴社長が新会長に就任、現副社長の矢嶋進氏が新社長に就くというトップ人事を発表した。現在、グループCEO(最高経営責任者)を務める進藤氏と新社長になる矢嶋氏は、新体制ではともにグループ共同CEOに就任し、老舗業界では異例の「ツートップ体制」を敷く。

トップ交代のきっかけは篠田会長の健康上の理由から。「体力、判断力旺盛な現時点において進退を決断することが、将来に禍根を残すことは少ない」(篠田会長)と考えるに至ったという。進藤氏は2012年4月に社長に就いたばかりだが、体制を刷新することになった。

社長1人では務まらない

「王子グループは海外を含めて、事業領域・事業内容が急激に拡大している。社長1人でこの広い事業領域をやるのは大変。グループ全体の最適化を目指し、矢嶋氏と当面はいっしょに相談しながら経営していく体制としたい」。人事発表当日の記者会見で、進藤氏はこれまで1人で遂行してきたCEO職を矢嶋氏との共同CEOに切り替える理由について、こう説明した。

つまり、篠田氏の病気という直接のきっかけはあったものの、新会長と新社長による共同CEO体制を新たに導入し、国内外で拡大を続ける王子グループの直面する課題に対処していく、との狙いがあったとみられる。

進藤氏が社長を務めた3年弱の間にも拡大戦略は続いている。直近では、ニュージーランド企業からオセアニアでのパルプ、板紙、パッケージング事業を12月1日に取得。この事業は王子HDの売り上げの1割近い1000億円前後の年商があり、近年のM&Aとしては比較的大きな部類に入る。

前社長時代から徐々に立ち上げてきた中国・南通プロジェクト(江蘇省)も、工場廃水をめぐる地元住民の反対運動激化などで操業が遅れたものの、今年6月にはクラフトパルプ設備の試運転にこぎ着け、12月中に営業運転を開始する。07年から1400億円を投じて進めてきた南通プロジェクトが、ようやく所期の目標達成を目前にしている。

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