今年も残すところ20日余りとなった。12月上旬~中旬は会社員、公務員ともに冬のボーナス(年末賞与・一時金など)が一斉に支給される時期だ。
第一生命経済研究所によると民間企業の2014年冬のボーナス支給額は平均で37万4000円と前年比1.7%増の見通し。4季(夏・冬)連続でプラスとなる。労務行政研究所の10月調査では、東証1部上場企業の2014年冬ボーナスの妥結額は206社の平均で70万9283円。前年同期比4.6%増と3年ぶりにプラスに転じた。
大企業と中堅・中小企業ではボーナスの金額に大きな開きがあるものの、消費増税後に国内景気は低迷しながらも、雇用情勢の改善もあって日本企業に勤めるビジネスパーソンの給料は増加基調を保ったといえる。
個人レベルで見ると、ボーナスや年収など給料の多寡はやはり気になるかもしれないが、一方で企業側の視点に立ってみるとどうか。各個人に支払われている給料は、企業が収益を上げた中で原資を確保して払っている。正社員にしろ非正規の派遣、パート、アルバイトなどにしろ、抱えている人員が多ければ多いほど払う給料も多くなる。
抱える人員が多いと人件費も重い
東洋経済オンラインは主要企業が年間にどれぐらい給料を支払っているかを独自に調べ、ランキングにまとめた。対象としたのは主要な上場企業のうち、「人件費」を損益計算書(P/L)のうち、販管費の費用科目として計上している1083社の直近本決算データ。企業によって人件費に含まれる費用の基準には微妙な違いがあるものの、要は給料だ。そのうち人件費が高い700社を掲載した。平均年収と売上高人件費比率のデータも併載している。
トヨタ自動車やNTT(日本電信電話)、JTなど米国会計基準(SEC)や国際財務報告基準(IFRS)で決算情報を開示している企業は「人件費」科目がないため、今回のランキングには含まれていないが、企業規模や業界などでどれぐらい人件費が負担になっているのかの傾向をつかんでもらえるはずだ。
1位はイオン。人件費総額は7405億円に上った。2位はセブン&アイ・ホールディングスで4305億円。言わずとした国内流通の2強であり、いずれもパート・アルバイトを含めた人材を大量に雇用しており、その給料負担が大きいことがうかがえる結果となった。3位の日産自動車、4位ブリヂストン、7位三菱重工業など重厚長大型の大手製造業については、製造原価に含まれる人件費が入っていないにもかかわらず、給料負担が大きいことがわかる。
平均年収の高さや売上高人件費比率に着目してみても面白い。たとえば4位の電通は平均年収が1191万円で調査対象企業で2番目に高く(トップはスクウェア・エニックス・ホールディングスの1351万円)。売上高人件費比率も11.9%と2ケタ。広告代理店のトップ企業として、資本である人材におカネをかけているという見方もできる。