値上げで出荷減、製紙業界のジレンマ 2度の値上げで価格は震災前水準を突破だが・・・
東日本大震災で壊滅的打撃を受けた工場の復活を描いた『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』(佐々涼子著)。その舞台となった日本製紙石巻工場(宮城)は、最近の印刷用紙の価格騰落にもかかわっている。
「震災と円高で輸入紙がどっと入ってきた」。日本製紙・印刷用紙営業本部長の佐藤信一常務はそう振り返る。
紙の中でも印刷用紙は、雑誌やチラシ、カタログなどに使われる。これらを大量に消費する出版や広告業界ではデジタル化が進み、需要面では従来から漸減が続いてきた。
一時輸入紙に押されたが・・・
そこに起きたのが東日本大震災。日本有数の印刷用紙工場である日本製紙石巻工場のほか、三菱製紙八戸工場(青森)などが被災。「需給が引き締まった」(佐藤常務)。
震災後の原料・燃料コスト上昇もあり、製紙業界では2011年秋に印刷用紙の値上げを実施。12年初めにかけ若干の価格回復傾向を見せた。
が、紙不足が続く中、中国など海外からの割安な輸入紙が円高も追い風に急増。月6万トン(国内シェア12%)水準から、月12万トン(同25%)水準までほぼ倍増した。
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