サマンサタバサ「冬季賞与なし」が物語る"窮地" 従業員のボーナスを払っている場合ではない状況

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ここで、はじめて同社の状況を把握した人もいただろう。同社は、業績向上のための構造改革が不可欠で、手元流動性の確保が課題とある。この社員へのボーナス不支給と同時に発表されたのは「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」だった。この数字を見てみよう。

<2024年2月期通期連結業績予想>
(前期実績)→(従来今期予想)→(今回修正発表)
売上高:252億円→261億円→236億円
営業利益:▲17億円→4億円→▲10億円

製造・販売コストの削減は順調に進んでいるとしながらも、「暖冬の影響等で見込んでいたお客様の来店数が全体として大きく下回る結果」となった、とした。

サマンサタバサの経営状況

サマンサタバサジャパンリミテッドの従業員数を便宜上、約2000人とする。そして冬のボーナス支給額を50万円と仮定する。なお、これは仮定であり、かつけっきょくは支給されなかったので、意味のない数字だ。たんなる荒っぽい概算にすぎない。

ただ、その概算でいえば10億円。その支給を停止するのは、どれくらいの意味をもつのか。さらに単純に考えると、今回、2024年2月期の通気連結業績予想が営業利益▲10億円だから、その同額といえる。

また、現時点から遡ること1カ月前、同社は「資金の借入に関するお知らせ」として商品仕入れにまつわる資金を得るためにコナカから借り入れを行っている。その金額は3億円。従業員のボーナスを支払っている状況ではなかった、というべきか。

「商品仕入に関する仕入資金支払を目的として借入」とのことだ(出所:サマンサタバサジャパンリミテッドHP
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