サマンサタバサ「冬季賞与なし」が物語る"窮地" 従業員のボーナスを払っている場合ではない状況

✎ 1〜 ✎ 83 ✎ 84 ✎ 85 ✎ 最新
拡大
縮小

ここで同社のキャッシュ・フローの状況を見てみよう。

《前第2四半期→当第2四半期》

●営業活動によるキャッシュ・フロー:▲4億4900万円→▲8億1700万円
●投資活動によるキャッシュ・フロー:▲1億8000万円→▲3億900万円
●財務活動によるキャッシュ・フロー:▲2億200万円→5330万円

なお、念のために説明しておけば各項目は次のとおりだ。

●営業活動によるキャッシュ・フロー:本業で増えた分のキャッシュを指す。つまり、プラスが当然で、マイナスは本業をやることでお金が減っていることになる。

●投資活動によるキャッシュ・フロー:投資などで設備等を導入するとマイナスになり、マイナスになるのはおかしくはない。逆にプラスになるケースは、有価証券や設備を売却している事実を意味する。

●財務活動によるキャッシュ・フロー:マイナスになるのは負債を返済している状態を指す。逆に、借金をして負債を増やして成長の礎を確保する際にはプラスになる。

なお、結果として、同社のキャッシュ残高は、22億7000万円から14億3300万円になっている。一方、BSを見ると、「1年内返済予定の長期借入金」は89億2400万円(8924百万円)だ。

ここからも、従業員らへの冬のボーナスの支給を取りやめた“苦しい”背景が読み解けるかもしれない。

全方位型の改革を進めている

現在、日本ならびに世界では新型コロナが収束を迎えつつあり、人々の行動も2019年以前に戻りつつある。しかし、ファッションのトレンドは従来と同じではなく、同社の売り上げはじりじりと下がり続けている。

同社は2023年3月より、「サマンサタバサ・リボーン計画」として全方位型の改革を進めている。2024年2月期まではリカバリー期で、翌2025年2月期まではグロース期と位置づけて、ブランド力の総見直しを図ろうとしてきた(ここでどのような施策かを説明したいところだが、一言でいうと「事業活動のすべてを見直す」ということになる。同社のホームページにも説明資料があるので参照のこと)。

次ページ公正取引委員会が発表した「労務費の上昇」のための指針
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT