半導体商社マクニカ「同業買収」の鍵はルネサス 中堅商社グローセルに対し2024年2月メドにTOB

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図でわかるように、売上高2000億円前後かつ、PBR1倍割れのゾーンに多くの商社が団子状態でひしめいている。

PBR1倍割れは、理論上、会社を解散して資産を分配したほうが株主の利益になる状態。一方で再編など売り上げ規模が大きくなればPBRも改善する傾向にあるため、ファンド株主などに狙われやすい。

半導体商社の売上高規模とPBR

この乱戦状態を抜け出すかのように、今年5月に中堅商社のリョーサンと菱洋エレクトロが経営統合することを発表した(詳しくは7月配信の『村上世彰氏が再来、「半導体商社」に再編の機運』)。

マクニカによるグローセル買収は、今年2件目となる大きな再編案件だ。ただ、リョーサン・菱洋エレクトロが規模や製品ラインナップの拡充を目指した統合であるのに対し、少し毛色は異なりそうだ。

ルネサス「商流リストラ」の余波

「ルネサスに切られる筆頭候補はグローセルだった」と、他社幹部が表現したように、今回の再編の背景にあるのはルネサス製品の販売権をめぐる動きだ。

同社製品の取り扱いを効率的に拡大したいマクニカが、ルネサスへの依存度が高い一方で会社規模が小さく危機感を持っていたグローセルをのみ込んだ――。そのような構図が見え隠れする。

仕入れ先の半導体メーカーから販売代理店として選ばれるかどうかは、半導体商社にとって最重要問題だ。メーカーが製品の販売権を取り上げたり、ほかの商社に移管したりすれば、その分の売上高が文字通りに消えてしまう。

とくにここ数年では、ルネサスによるそうした商流再編が業界に大きな影響を与えている。2019年には16社あった代理店が大幅に絞り込まれ、商社にとっては販売権の喪失が相次いだ。

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