リピート率75%「新感覚スーツ」を生んだ発想 ユニクロも嫉妬する元水道会社の"非常識"

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今では、WWSをユニフォームに導入する企業は約2000社、累計販売数は22万着に上る。スーツと作業着の垣根を破壊した「ボーダーレスウェア」としてWWSが投じた一石は、アパレル業界内に大きな波紋となって広がっていったのだ。

飲食の経験はない。だが、情熱はある

ところで、関谷氏が起こしたムーブメントは機能性スーツだけではない。「タピオカブームの火付け役」としても知る人ぞ知る存在だ。

WWSの開発からさかのぼり、2010年頃。関谷氏は国内で軌道に乗った水道管メンテナンス事業を海外に展開すべく、台湾やシンガポールなどを頻繁に訪れていた。しかし、2011年の東日本大震災の影響で海外プロジェクトは頓挫する。

その一方で、関谷氏が台湾を訪れるたびに必ず立ち寄っていたのが、タピオカミルクティー発祥の店とされる台湾カフェの「春水堂」だった。

「はじめて店内に入って衝撃を受け、同時に日本中でたくさんの人がタピオカミルクティーを楽しんでいる映像が鮮明に浮かんできました。ぜひ日本に紹介したい、という衝動が止まらなくなったんです」

春水堂に何度も通いつめては「オーナーに会わせてください」と頼み込む関谷氏。1年半後、「出店の商談はすべて断っている」というオーナーに面会するチャンスを得る。

「君は日本でどんな飲食業を経営しているんだ?」

「いえ、実は水道の仕事をしています」

「水道? 飲食の経験もないのに、やれる自信はあるのか?」

「やれる自信はないのですが……とにかく、この春水堂が好きなんです!」

そんなやり取りから始まり、その後も頭を下げ、情熱を伝え続けた末に、ついに2013年、東京・代官山に春水堂の1号店をオープン 。後に社会現象ともいえるタピオカブームを日本中に巻き起こしたのは周知のとおりだ。

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