リピート率75%「新感覚スーツ」を生んだ発想 ユニクロも嫉妬する元水道会社の"非常識"
何十もの企業に断られた末に、ようやくある中小の生地メーカーが「面白いね。協力するよ!」と手を差し伸べてくれた。そのメーカーとともに試行錯誤を重ね、関谷氏が追い求めていた新素材がついに実現。「究極の(ultimate)素材」の意味を込めて「ultimex(アルティメックス)」と名づけた。
その新素材「ultimex」を使ってついに完成した「スーツのような作業着」。見慣れないスタイリッシュなデザインにベテランの作業員たちも最初は難色を示したが、着てみると普段の作業着以上に軽く、動きやすい。毎日ガシガシと洗濯できる。支持を獲得するのに時間はかからなかった。
「実は、このWWSを作ったことで意外な変化があったんです」と関谷社長は振り返る。「ボサボサだった髪が整えられ、言葉遣いがていねいになり、丸まっていた背筋が伸びて……無骨な作業員たちの見た目や内面が変わっていったんです。それがお客さまへの評価にもつながりました」
「スーツを侮辱」「作業服をなめるな」と各所から批判
その評判が取引先にも伝わり、「このWWSを当社のユニフォームとしてぜひ導入したい」との声がオアシスに相次いだ。
「これは社会を変えるビジネスになるかもしれない」。2018年、関谷氏はグループ内にアパレル会社を立ち上げ、社内プロジェクトとして開発したWWSの商品化に踏み切った。
アパレル業界に突如として現れた「スーツのような作業着」。アパレル業界からは「スーツを侮辱している」、作業着業界からは「作業着をなめるな」と、両方から批判の矢が飛び、大炎上した。 ところが、そんな批判をよそにWWSを導入する企業は続々と増えていき、三菱地所や全日本空輸など大手企業もユニフォームに採用した。
そして、導入企業が500社を超えたあたりから、アパレル業界内の風向きが変わりはじめる。大手作業着メーカーや素材メーカーがこぞってWWSに類似した機能性スーツを投入してきたのだ。
「以前に断られた大手の素材メーカーが、こちらが感心してしまうくらい『ultimex』に限りなく似せた素材を開発してきた。びっくりしましたね。でも、結果として市場が広がったので、今ではポジティブに受け止めています」
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