たとえば僕が一番危惧しているのは、団塊ジュニア世代が介護を必要とする時代になる頃です。団塊の世代は、まだ団塊ジュニア世代がその介護を何とか支えられるでしょう。ところがそれより下の世代は、人口がガクッと減ります。団塊ジュニア世代が後期高齢者に突入したとき、国の社会保障費だけでは到底支えきれません。すると介護難民が出てきます。
団塊ジュニア世代は年金が安泰とは感じていないように思いますが、他の世代と同様に自分たちのことも「お上が何とかしてくれる」と漠然と思っているのではないでしょうか。しかし自分の資産は親の介護で使ってしまい、気がついたときにはすっからかん。年金だけでは食べていけない。国も何もしてくれない。生活保護も破綻していて受けられない。
高齢者人口のピークは2040年頃で、尋常ではない介護難民が発生するといわれています。もう目の前です。コロナ禍で病床が切迫していると度々報道されていましたが、コロナ重症者は50万人弱だったのに対し、介護難民予想数は280万人とこちらの方が圧倒的です。
50年前からお金の教育を少しずつでもしていたら、お金に強い役人や政治家が増えて国の制度がもっとまともになったでしょうし、国民全体のリテラシーが高ければ時代と共にすばやくお金のリスクヘッジをできたと考えられるので、こんなことにはなっていなかったでしょう。
これは団塊ジュニア世代だけの問題ではありません。介護難民を減らすためには、今の何倍もの社会保険料を下の世代が負担しなくてはなりません。手取りはますます減ります。すると今よりもっと生活が苦しくなる。
こうしたネガティブな話は多くの人が聞きたくないと耳をふさぐのですが、このままでは社会そのものが崩壊します。日本社会は今、持続不可能な状態にあると言っても過言ではないのです。
退職してから「さあどうしよう」では遅い
一方、お金の扱い方について知れば、それらはすべて人生の選択肢になり得ます。たとえば2019年、老後2000万円問題がメディアで取り上げられ、大騒ぎになりましたよね。「老後30年間で約2000万円が不足する」と受け取れる試算を、金融庁が出したことに始まります。これに右往左往した人も多いのではないでしょうか。
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