「東大理Ⅲに4連敗」夢破れた彼女が見つけた道 合格最低点と僅差で不合格、その後の彼女は?

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過酷だった仮面浪人の日々は慌ただしく過ぎて、4回目の理Ⅲ受験を迎えます。しかし運命の神様は残酷で、またしても前年と同じく数点差での不合格でした。

とはいえ、彼女はこの結果を前向きに受け止めて、自分なりに4年間の挑戦の日々を消化することができたそうです。

「実はこの年、理Ⅲの合格発表があるまでの間に何も考えなくて済むように運転免許の合宿に参加していたのです。そのとき、運転免許の試験勉強もとても難しくて、車を運転している人はみんな、こんなに大変な思いをしているんだな、自分だけ頑張っているかのように考えるのは傲慢だったなと思えました

私自身、今回の挑戦で『もうやり切った。これ以上やっても伸びない』と思うところまで頑張ったので悔いはなくなり、医者になるという次の目標に向けて頑張ることにしました」

理Ⅲに届かなかった理由

2浪+仮面浪人という合計3浪の受験生活を終えた森さん。

彼女は今、惜しくも東大理Ⅲにたどり着けなかった理由について「理Ⅲに入る人の境地に至れなかったから」と振り返ります。

「実際に理Ⅲに入った人を見ていると、自分よりももっと簡単に解ける考え方をするんです。同じ問題を解いていても、自分は時間をかけて力技で解こうとしているのですが、(理Ⅲに入った)みんなはもっと物事を単純に捉えてシンプルに考えられるんですね。自分はそこまで至れなかったなと思いました」

ただし、この長い期間の挑戦自体に悔いはないそうで、「熱中した経験が今に生きている」と前向きに受けとめていました。浪人してよかったことについても「友達ができたこと」、がんばれた理由についても「数字で成長の実感が得られたから」とそれぞれ語ってくださいました。

「私は浪人以前に何かに打ち込んだことがないので、自分は何ができるのかがわかりませんでした。でも、実際に浪人して、理Ⅲという目標に向かって友達と一緒に熱中したので、輝かしい記憶として残っています。

浪人しなければ、私は絶対に医学部に入れませんでした。受験勉強は大変でしたが、孤独ではなかったので、苦痛ではありませんでした。受験のために必要なものは人間関係で、受験生活で得たものも人間関係です。今でも浪人中の友達が頼ってきたら全力で応えたいし、私が迷ったときも相談できるいい関係が続いています。一緒に努力をした仲間というものは、大人になってしまうとなかなか得がたいものだと思います

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