「東大理Ⅲに4連敗」夢破れた彼女が見つけた道 合格最低点と僅差で不合格、その後の彼女は?

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森さんは、理学部を卒業し、エンジニアだった父親と専業主婦の母親のもとに生まれました。小さい頃は転勤族で、関東の各地を転々としていたそうです。

「家には漫画がたくさんあり、特に『ブラックジャック』や『火の鳥』、『ブッダ』など手塚治虫先生の漫画が好きでした。それらを読んでいたので、幼い頃から漠然と医師への憧れがあったと思います」

「漫画を含め読書や絵を描くことが好きだった」と語る森さん。医師になるという目標はあったものの、勉強への興味はあまりなく、小学4年生のときに通った四谷大塚、小5から通い始めた日能研での模試の偏差値はそれぞれ50くらいだったそうです。

「国語は特に何もしなくてもできるほど得意でしたが、算数・社会は苦手でした。ただテストを解くこと自体は、苦痛に感じなかったんです。中学受験ではテスト形式の過去問を頑張って解いたこともあって、なんとか埼玉県の中高一貫校に合格することができました」

埼玉の中高一貫校に進んだ森さんは、美術部に入って絵を描く日々をすごします。

「読書が好きで、辞書を片手に洋書を読んでいたほどでした。そのため、中学から授業が始まった英語は割と得意でした。ただし、暗記は苦手だったので、漢字や英語のスペルはあまり覚えられませんでした。英語と国語以外の科目に関しては、高校1年生まで興味を持てませんでした」

本屋で見つけた運命の1冊

「美術部に入って鉛筆画、たまに油絵を描くことが趣味だった」中学・高校前半時代の森さん。将来の夢や志望校なども漠然と「医者になる」くらいの意識しかなかったそうです。

そんな森さんが高校2年生になる春休みに、ある衝撃的な出会いがあります。

「たまたま本屋さんで、東大理Ⅲ出身の精神科医・和田秀樹先生が書いた『数学は暗記だ!』という本を見つけて読んでみたのですが、身体に電流が走ったかのような衝撃でした。

今まで私は、数学は思考力や才能、地頭のよさを試される科目なのだと思っていて苦手意識がありました。ですが、この本を読んで、凡人でも数学の定石を頭に入れることで、受験数学でなんとか戦えるようになると知り、『頑張る道筋』が見えた気がしました。

平凡な自分でも、勉強をすれば何かが変わるかもしれないと思い始めたのです。それから、受験の合格体験記を買いあさるようになりまして、その中でも『東大理Ⅲ 合格の秘訣 天才たちのメッセージ』が読み物として面白く、そこに載っている人たちへの憧れが芽生えました。受験に打ち込めば、その本に載っている人たちのようになれるのではないかと思い、東大理Ⅲを志望校に設定しました」

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