「文章読めない社会人」国語教師が教える根本要因 すらすら読めるようになるにはどう鍛える?

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ちなみに、清少納言の書いた枕草子は、「をかし」という言葉が多用されていることが指摘されています。

「をかし」は、今でいうところの「エモい」「すごい」みたいな意味の言葉であり、「興味を引かれる」というような言葉です。これを指して、「をかしの文学」なんて言われています。

なんと枕草子では、400回以上も「をかし」という言葉が使われています。すごい登場頻度ですね。でも、この「をかし」を表現する言葉って、今は無限に存在しています。きっと今だったらこんなに同じ言葉が登場する作品は少ないでしょう。

要するに、文章の中でいろんな表現を使うために、同じ意味の言葉が、どんどん増えていっているのではないでしょうか。同じ文章の中で同じ意味の言葉を「言い換える」ことが増えていっているわけです。

逆に言えば、昔の文章よりも、今の文章のほうが読みにくくなっていっているかもしれません。それは、同じ話題であっても手を替え品を替え、表現がどんどん替わっていってしまうからです。

この「表現がどんどん言い換えられていく」という文章の特徴こそが、多くの人が国語が苦手になってしまう理由だと言えます。多くの人は長文を読んで「あれ?これって結局何が言いたい文章なんだっけ?」となってしまうのです。

言い換えに気づけず、混乱してしまう

「なんか話題が途中から追えなくなっちゃった!」みたいな経験をしたことがある人は多いと思いますが、その原因は「言い換え」が多く、「言い換え」に気づけていないからかもしれません。

「この人は不世出の大天才であり、彼の功績は唯一無二のものだ」と言われたときに、「彼はすごい」と言っているだけで、同じことを繰り返しているだけです。でもそれに気づかずに読んでしまっているのかもしれないわけです。

ですから、みなさんが文章を読めるようになりたいのであれば、この「言い換え」をたくさん覚えるようにしましょう。

例えば、「日和見主義」「事なかれ主義」「事大主義」「八方美人」などは、すべて似たような意味になります。

「日和見」は「ひよりみ」と読み、自分の意思を持たず、形勢をうかがって自分の都合のよいほうにつこうとする態度をとることを指します。

「あいつは日和見主義だ」などと使うと、「あいつは自分で何も考えず、事なかれ主義で動いている悪いやつだ」という意味になることが多いです。

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