(5)投資枠復活
資産を売却して空いた投資枠は翌年以降に復活し、(2)のルールに従って、投資して繰り返し利用可能だ。
期間の途中で売却してしまった場合に、それまで利用していた節税運用可能額が復活しないのは、過去のNISA制度が持っていた不便の1つだった。これは、頻繁な売買を行わないほうがいいという、金融庁の親心(?)的な親切と、金融機関の営業ぶりへの不信から発生したルールであっただろう。
しかし、無期限に利用できるこれからのNISAにあっては不便なので、規制が緩和されたと考えていいだろう。
(4)(5)を通じた流動性の改善は、新しいNISAの大きな特徴であり、利用者にとってのメリットだ。例えば、一時的にお金が必要になったときにNISA口座の資産の一部を解約して支出に充てて、その後入金ルールとしての成長投資枠を有効に使って、早く投資額を回復するような、いわばNISAをお金が増える可能性の高い金庫のように使い回すことができる。
「一度買ったら持ちっぱなし」が好ましい
(6)投資期間無期限
無期限の長期投資が可能だ。NISAでの投資も投資一般と変わるところはなく、買ったら持ちっぱなしの長期投資が好ましい。しかも、生涯投資枠の上限1800万円は簿価ベース(買った値段ベース)の管理がルールなので、「売って買う」行為を行うと簿価が上がって、実質的にNISAを利用して投資できる金額が小さくなる可能性が大きい。
この性質は「ずっと長く持てる商品を選ぶことが有利だ」という原則を示唆する。まず、ずっと長く持つことを考えると、投資対象に偏りがあると不利だ。また、「平均投資有利の原則」から考えて、広範囲の投資家の保有する投資の平均に近いものが有利である。
したがって、日本株、米国株、などといった特定の市場に対して偏った投資を持つよりは、全世界の株式に時価総額のウェートに応じて平均的に投資できる商品が有利だ。加えて、長期間にわたる複利運用では、手数料の差の影響も投資利回りへの影響を通じて複利で影響する。運用管理手数料が低い商品のほうがいい。
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