「笑われる奴」「バカにされる奴」こそ最大の脅威だ イノベーターを育てる「漫才学」のすゝめ

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ダウンタウン以後の漫才師、M-1以降の漫才師は、師匠を持つ徒弟制ではなく育ち、漫才作家を持たず自作で勝負する。コンビの腕でのし上がるシンガーソングライター。アーティストなのだ。

だからこれも谷さんが言うとおり、マヂカルラブリー、ヨネダ2000、ロングコートダディなど邪道と言われかねないネタが決勝に勝ち残る。新しいモデルが開発され、新しい表現が生み出され、進化し、型にはまった古典にならない。同じお笑いでも、昔のネタをコピーする落語とは真逆だ。

とはいえ仲よしコンビじゃないと面白くないと谷さんは言う。特に仲よしきょうだいの強さを挙げる。中川家、ダイマル・ラケット、いとし・こいし、お浜・小浜、はんじ・けんじ……。漫才=コミュニケーションとしての表現の基点は、人と人の間柄だということだ。

学生にも漫才を学んでもらいたい

ぼくも学生にコミュニケーション=漫才を学んでもらいたい。とりわけ、デジタル時代に求められるコミュニケーションのスキルは漫才がエキスだ。

というわけで、ぼくが実行委員長を務める京都国際映画祭では「きょうの寄席~iU学長くん推し」を開催し、学生にも課外授業として学ばせている。これまで2回行い、ティーアップ、Dr.ハインリッヒ、金属バット、デルマパンゲ、天才ピアニスト、ハイツ友の会、ダブルヒガシら、攻めたラインナップ。毎年やりたい。学んでもらいたい。

「ところで、お前はどうなんだ」、ですよね。ぼくも学ばなければなりません。いずれM-1に挑戦したいと考えています。1回戦突破が人生の次の目標です。谷さんにご指導いただくつもりでございます。

「M-1はじめました。」が10倍面白くなる
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中村 伊知哉 情報経営イノベーション専門職大学(iU)学長

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なかむら いちや / Ichiya Nakamura

京都大学卒業後、旧郵政省入省。MITメディアラボ客員教授、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授などを経て現職。

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