同志社大学・太田肇教授の新モチベーション論(第4回)--従業員が従業員を表彰し、モラールが着実に向上

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会社を支えているのは自社の社員だけではない。そこで、下請け・協力会社の作業員を表彰する「最優秀パートナー賞」という賞も設けている。

同社では5年前から年に1度、経営方針発表会を開いており、そこには社員のほか協力会社の人、お客様、株主なども集まる。その場で表彰式が行われ、賞の種類に応じて、賞状のほか副賞として金一封や商品券、名前入りのコップなどが贈られる。賞状の文面も、受賞者一人ひとり変えるという徹底ぶり。

選ばれる側はもちろん、選ぶ側も社員という現場主義、社員中心主義の表彰制度。それを取り入れてから、クリーンキーパーの意識は徐々に変化していった。たとえば当日になってから突発的に仕事を休むとか、はっきりした理由なく退職するといったケースが目に見えて減少したという。現場の地道な努力を認め、社員同士が互いに称賛するという文化が社内に定着し、社員のモラール(士気)も着実に高まっているようだ。

現場で地道に働くスタッフ一人ひとりの個性、働きぶりに注目し、表彰という形で称賛する。組織の足腰を強くするのには大切な活動である。

おおた・はじめ
同志社大学政策学部教授。日本表彰研究所所長。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。京都大学経済学博士。滋賀大学教授などを経て2004年より現職。著書に『「不良」社員が会社を伸ばす』『認め上手』など多数。

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