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日本は「独り勝ち」のチャンスを台なしにしている 資本主義の本質とは社会を破壊することにある

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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そして最後には、加速に社会がついていけず、独楽(こま)が止まるように、経済社会が力尽きて、止まってしまうか、あるいは、加速がつきすぎて、発散し、バブルが崩壊するように、経済社会が破裂してバラバラになって残骸があちこちに残るか、となるはずである。

現在は、この発散が始まり、破片があちこちに散らばり始めている様子がうかがえるのである。

格差は拡大し、経済の分断から社会は分断された。資本主義が最も加速して発展したアメリカでは民主主義も分断されて、バラバラになっている。

経済だけを見ても、変化は加速し、変化に耐えられないとみた独占企業候補者は、みなプラットフォームというものを支配することで、変化が加速しても、自分だけは固定されたままでいようとし、このプラットフォーム覇権争いの小競り合いが、さまざまな産業分野で、世界各地で行われている。

ゲームチェンジャーなどという恐ろしい言葉が、安直に軽々しく、あちこちで使われ、大学生起業家ですら、ゲームチェンジャーを目指しているらしい。そう簡単にゲームのルールを変えられてはたまらないが、ゲームのルールは毎回変えられようとする。

それは実際に変わるのであり、ゲームのアリーナ、つまり、市場も社会も個々のプレーヤーに破壊され続け、ゲームのフィールドの全体を整備する、設計し直す暇もインセンティブもなくなり、しまいにはゲームは成り立たず、経済も社会も崩壊していくだろう。

資本主義という「変化の時代」が終わる

となると、社会が崩壊して終わってしまうのか ? 人間社会の断末魔、この世の終わりなのか ?

そうではない。資本主義、という「変化の時代」が終わるだけである。次の「固定化の時代」が来るのである。「成熟の時代」といってもいいし、「深堀りの時代」と言ってもいいかもしれない。

資本主義とは、誰かが設計して作ったものではない。ただ、世の中が動き始め、それに各行動主体が動いて対応し続けた結果、全体の様相を描写すると、そういう風になっている、というだけのことである。設計者もシステム運営者もいない。だからシステムではないのである。だから、社会学者・イマニュエル・ウォーラーステインの提唱する世界システム論はミスリーディングなのである。

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