ロボット技術活用、寝たきりの人に「キャリア」を 神奈川の中小企業が「遠隔就労システム」を開発

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実用化を目指す中で最大の課題となっているのが、遠隔就労システムの用途開発だ。ゴクーは工業や農業、畜産業などで幅広く使える反面、まだ「これ」というものが見つかっていない。導入のための費用も問題で、機器のコストダウンや障害者雇用への助成金の活用を模索している。

越えるべき壁は多いが、諦めるつもりはない。「来春から障害者の法定雇用率が引き上げられる。地方や都市部にかかわらず、人材不足に悩む企業は寝たきりの人の活用も考えてみてほしい。ぜひ知恵を貸してください」と和田さん。障害者の就労先となるパートナー企業を募集中だ。

ロボットを用いた遠隔就労の可能性

ロボット技術による障害者の遠隔就労には、接客業ですでに成功事例がある。

カフェで働く人型ロボット「OriHime」(記者撮影)

東京・日本橋のカフェ「DAWN ver.β」では、約70人の重度障害者らが分身となる人型ロボット「OriHime(オリヒメ)」を操り、給仕などにフルリモートで従事する。主に外国人観光客を相手に好評を博し、店内は連日大盛況。働きぶりが認められた障害者スタッフの中には、ほかの飲食店などにヘッドハンティングされた例もあるという。

カフェを運営するオリィ研究所の吉藤オリィ所長は「他人に何かをしてもらってばかり、というのは障害者にとってはつらい状況。働く場があれば、他者と関係性を築いて『ありがとう』と言ってもらえる存在になれる。寝たきりの先にもキャリアを作っていけるような世の中にしたい」と語っている。

石川 陽一 東洋経済 記者

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いしかわ よういち / Yoichi Ishikawa

1994年生まれ、石川県七尾市出身。2017年に早稲田大スポーツ科学部を卒業後、共同通信へ入社。事件や災害、原爆などを取材した後、2023年8月に東洋経済へ移籍。経済記者の道を歩み始める。著書に「いじめの聖域 キリスト教学校の闇に挑んだ両親の全記録」2022年文藝春秋刊=第54回大宅壮一ノンフィクション賞候補、第12回日本ジャーナリスト協会賞。

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