「100点なんて偉いね!」が子どもへの呪いになる訳 その「ほめ言葉」が子どもを縛ることになる

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チカのケースのように、「こんな成績取れるなんてすごいね!」「いい子にしてくれて本当にうれしいわ」などのほめる行為を、多くの親御さんたちは「よかれ」と思ってやっているのではないでしょうか。

しかし、こういった「ほめ言葉」は、「足かせ」にもなりうるものです。私たちは基本的に、親が子どもをほめるということを推奨していません。なぜなら、ほめることは、「これだと良い」「これだと悪い」と、評価の基準を作ってしまうからです。

「ほめ言葉」は子どもを縛る呪いの言葉

「100点取るなんて偉いね!」と喜ぶ親は、ともすれば、「99点では許してもらえない」と自分を追い詰めてしまう子どもを生み出します。「100点を取って偉いね!」というメッセージは、同時に、「でも99点ならダメ!」というメッセージにもなりうるからです。

不安が強めの性格傾向を持つ子どもが、このような言葉を受け取ると、親に喜んでもらおうと一生懸命勉強をします。100点が取れたときはいいのですが、取れなかったときに「次回は100点が取れるように頑張りなさい」と言われたり、親が残念そうな表情をしていたりするのを見ているうちに、「100点を取れない自分はダメ」という考えに囚われるようになります。これは不安の表れです。

まずは、チカのように、答案をこっそり捨ててしまう、といったような小さな歪みから始まります。そのうち、生活面すべてにおいて「自分はダメ」と考えるようになると、心身に歪みが生じ、朝起きても体が動かず、学校に行けない状況になることもあります。

親が「よかれ」と思って言ってしまいがちな言葉は、何も学校の成績に限った話ではありません。たとえば、「何でも食べてくれてお母さんうれしいわ」という言葉は、同時に「食べなかったら、お母さんはあなたのこと嫌いになるからね」というメッセージとして子どもに伝わる可能性もあります。

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